自己管理能力

何かを得るためは相応の代償が必要!仕事が忙しい皆さんの正しい時間管理の捉え方と優先順位の考え方

はじめに

皆さんは仕事で新しいことにどれくらいチャレンジしていますか?また、そのチャレンジはいつでもいくらでもしたいですか?そして今、実際に新しいことにチャレンジすることはできますか?

統計的・一般的な話ですが、年齢を重ねるごとに新しいことにチャレンジする機会が減ってきている方が多いのではないでしょうか。筆者は、年齢を重ねても、若い時から性質は変わってきていますが、この先もいつでもいくらでもチャレンジしますし、チャレンジを楽しんでいます。

少し視点を変えますが、どんなに仕事ができる人もできない人も、生まれつき資産家の生まれでもそうでなくても、大人も子供も、社会人も学生も、どんな人でも平等であり、特権を得ることができないことがあります。何か分かりますか?

それは「時間」です。1日24時間というのは、誰しも平等に存在していて、時間を遅くすることも早く進めることも止めることもできません。絶対に皆さん平等に1日24時間であり、この時間という「器」を変えることはできません。

私たちはその中で、睡眠時間を取ったり、食事をしたり、仕事をしたり、遊んだり、何もしなかったり、勉強したり、趣味の時間に使ったり、自己投資に使ったりしています。それでいてその1日24時間は現状、ぎっしりと詰まっていてぱんぱんの状態なのです。

本記事では、仕事で新しいことにチャレンジするとはどのようなことであるのか、新しいことにチャレンジする必要性について示します。その上で、チャレンジをする時の正しい時間の捉え方、具体的な正しい時間の使い方について解説していきたいと思います。

解説

新しいことにチャレンジするということ

(1)具体的な方法

新しいことにチャレンジするということは、基本的には次のような作業になります。

  • 皆さんが忙しくて、ぱんぱんになっている1日24時間という器から何かを捨てる
  • その何かを外に出すことでできる空いた器に、新しい何かを入れる

物理的に時間を空けなければ入れることができないのです。

1日平均2時間のテレビを見ている、ゲームをしているのであれば、その時間を削れば、2時間の器を確保できます。

ただ、空いた器を作るためには、必ずしも何かを「捨てる」という作業をする必要がない場合もあります。例えば仕事で1日平均9時間を費やしていたとしたら、効率化を図って平均7時間半で済ませることができれば、1時間半の新しい器を確保することができます。

また、1日平均7時間の睡眠時間を取っていたとすると、5時間で済ませることができれば、2時間の新し器を確保できます。

両方したら、3時間半もの器を確保できることになります。でもそれを続けるとなるとかなりの犠牲も伴いそうです。

これは理想論ではなく、物理的にどのように時間を確保する(空ける)のかということが重要になります。

でも、この物理的に時間を確保する、という行動を実際にとることができる方は少ないのではないでしょうか。その理由は皆さん今の仕事や生活で手一杯であり、新しいことに目を向けることがなかなかできないためです。現状でそれなりにうまくいっていれば、新しいことをする必要性が低くいと考えてしまうので、なおさら新しいことにチャレンジをする必要性が少なくなってきます。

これは、皆さんにとって本当に正しいことなのでしょうか。

(2)具体的な事例

具体的な事例を示してみたいと思います。例えば、職場の人材育成を考えた時に次のようにタイプ分けをしてみます。

  1. 将来の成長を期待できる若手職員
  2. 思考が凝り固まりつつありチャレンジが少なくなってきている中堅職員
  3. 新しいことはできなくなっているけどクラシックな仕事を粛々とこなし縁の下の力持ちとなって下さる職員

組織を運営して生産性の向上を図る場合はどうしますか?例えば、①将来の成長に期待する若手職員の育成に多くの時間を割き、他の職員(②や③の中堅・ベテラン職員に割く時間を減らすという選択肢があります。

そして、①の若手職員でも、機会はもちろん平等なのですが若手職員の意識やポテンシャルに応じて割く時間の濃淡をつけます。場合によってはドライとか冷徹とも捉えられてしまいます。

でも、これを明確に口にすると、立場の上の方に怒られてしまうこともあるでしょう。でも、人的資本と時間が限られていて、組織や会社の生産性を向上するために具体的に実践しようとすれば、必要な判断であり、時間という器の配分(アロケーション)を具体的にどうするのかという問題になります。

つまり、現在や未来の組織の強みを見い出し、選択と集中、優先順位をどのようにするのかという問題なのです。ただ、実際には、表向きには、上の方の価値観や嫌だと思うことも理解して、あまり角をたてずに円満に進めていくことをお勧めします。目的は我を押し通すことではなく、組織全体の最適化を図り、成果をあげることですからね。

仕事でも人生でも、何かを得るためには相応の代償が必要なのです。この認識を持てるか持てるか、持てないかが、皆さん自身の仕事や人生を左右していくことになります。

新しいことにチャレンジをする必要性

(1)チャレンジしないことで生じること

チャレンジはなぜ必要なのでしょうか。中堅だったりベテラン職員、更に最近では若手職員もチャレンジの必要性に疑問を持たれる方も一定数の方がいます。

「私は仕事で成長を求めないからチャレンジなんて必要ない!」「仕事は安定こそ全て!」「仕事は問題を起こさないようにそつなくこなすことが重要!」「チャレンジして失敗したらマイナス評価!」「私はワークライフバランスを確保したいから仕事が一番ではない!」なんて声が聞こえてきそうです。筆者もよくそのような意見を聞きます。

でもチャレンジしないと実際にどのようなことが起こるのでしょうか。チャレンジしない人は成長しません。成長しないということは新しい情報や知見(インプット)が無いということです。新しい知識が入らないので過去の栄光や武勇伝にすがりがちになります。そこでその過去の栄光や武勇伝を自身ありげに話しても、時代背景や社会環境は大きく変わっているので、ほぼオワコン扱いとなり、誰も話を聞いてくれなくなってしまいます。悲しいですが残酷な事実です。

今の社会情勢を見ても、世の中がこの先どのように変化していくのか、未来を当てることができる人はいません。少子高齢化が究極に進み、防衛費を補うための増税や世界的なインフレも進み、新型コロナウィルスのようなパンデミックが生じて社会が激変してしまったり、地政学的な不確実性も増加しており、数年前に安定を求めていた社会はめまぐるしく変化しています。パンデミックについては、サプライチェーンの激変、オンライン化による職場環境の激変、近い将来に顕在化しそうな終身雇用制度の崩壊などが生じており、このような変化に対応できない人も増加しています。

そのような方は、終身雇用制度が崩壊しつつある中では、残念ながらリストラ対象の筆頭になってしまいます。そして、成長しない人には、人材も離れていってしまいます。年齢も重ねてきて経験も積んできたから、あとは安泰で人生を過ごそうなどと考えている人は要注意です。

(2)国際的な視点から日本を見てみる

もう少し違う視点からも見ていきます。日本では、日本社会のことを中心に考えており、例えば、経済活動における他国も意識した経済力、軍事力、食料自給率、資源やサプライチェーン、地政学的なリスク、国際的な位置づけや役割などについて真剣に考えている人はごく少数です。これは、日本国が島国であったり、かつて鎖国をしていたり、その他さまざまな社会的政治的な背景もあり、ガラパゴス日本になりやすい社会が形成されているために生じています。

そんな国際的にも大きな変化がある中で、チャレンジしない人が増えていったとしたら、さまざまな分野で国力が低下し、その一方で発展途上国の経済成長も勢いがあるという状況で、IMDの日本のランキングも低下しつづけているという状況は危機的とっても過言ではありません。

さて、少々難しい話に入ってしまったので、話題を戻して結論に向かっていきたいと思います。

正しい時間の捉え方

1日24時間の器で平等であることを理解します。何かのために時間を取れば、何かを捨てることになるという収支やトレードオフの関係を理解し、受け入れることです。

正しい時間の使い方

1日24時間がぱんぱんに詰まっているとして新しいことにチャレンジするためには、あることにかかっていた時間を短くする、またはあることをやめてそれに使っていた時間を新しいことのために確保する、この2択であると認識することです。

その上で、具体的に時間を確保するためにどうするのかを考えていきます。

その確保する時間スパンは、短くても(日や週単位でも)長くても(月や年単位でも)構いません。ただ、行動に移しやすいのは、日や週単位での時間の確保です。

(1)時間の先取りをする

時間の先取りという考え方が使えます。例えば、職場への通勤に片道約1時間かかるとします。これは無駄な時間ですか?ある視点から見れば無駄です。でも、違う視点から見ると、この時間は読書などで皆さん自身の学びのインプットを行う貴重な時間と考えると、通勤時間がとても重要な時間になります。つまり、このケースでは、必ず通勤で往復2時間を使います。その時間は先取りしてインプットをする学びの時間として強制的に確保してしまえば、継続的に具体的な行動をとることができるのです。

ここでは通勤時間を例にとりましたが、会社を退社する時間を強制的に決めるというのも重要な考え方です。いつもそれを達成するのは難しいかもしれませんが、時間を決めるとその中での有効な時間の活用方法や優先順位を決めて取り組んでいけるのでかなり活用できます。

慣れるまで最初のうちは、絶対に不可能と思ったり、どうできるのかが想像もできないかもしれません。でも、絶対にそうするしかない!と明確に認識して、その中でどのように対応していくのかを具体的に詰めていくと、究極の選択と集中、優先順位の設定をしていくことになるのです。

もちろん、筆者を例にとっても、自分自身の成長や仲間の成長(これは本当に嬉しい)もありますが、案外やりくりすることができるのです。自分自身で時間をコントロールできて主導権を持つことができていれば、十分にやりくりしていくことができるのです。

(2)優先順位を決める

すでに示していますが、優先順位も時間スパンを考慮する必要があります。今、捨てるけど、中期的には復活させるものもあると思います。今と未来、両方の視点から、特に今優先する(今は捨てる)ものを明確にすると、皆さん自身の中でも、明確な優先順位を決めることができます。

おわりに

本記事では、仕事で新しいことにチャレンジするとはどのようなことであるのか、新しいことにチャレンジする必要性について、具体的な方法や事例を示しながら解説してきました。その上で、チャレンジをする時の正しい時間の捉え方、具体的な正しい時間の使い方として、時間を先取りする、優先順位を決めるという具体的な方法について解説してきました。大事なことは、考えることではなく、小さな、できることから小さな一歩を踏み出して具体的に行動することです。

本記事は、水野敬也さんの「夢をかなえるゾウ」シリーズの「夢をかなえるゾウ1(文響社)」の一部を引用して記事にしています。この書籍は、まだまだご紹介したい、仕事で活用できるエッセンスがてんこ盛りです。筆者からもとてもおすすめできる書籍なので、ご興味のある方は是非、ご一読いただければ嬉しいです。こてこての関西弁などクセはありますが、コンテンツがあまりにも良質で一度読んだらシリーズを全制覇したくなる方も多いのではないでしょうか。

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