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人間関係は疲れるから避けるべき?それでも人間関係に投資した方がよい理由

1. はじめに

人間関係に疲れてしまった皆さんは、ストレスになるだけなので人間関係は避けるべきだと考えている人も多いかもしれません。しかし、実際には人間関係に投資することが重要なのです。なぜなら、人は他者とのつながりが欠かせない生き物であり、幸せな人々には共通して「強固な人間関係」があるからです。さらに、周囲からの支えが寿命に影響し、人間関係の絆はストレスを和らげる効果もあります。困難な状況でも人間関係がしっかりしていれば、ストレスとしてではなくチャレンジと捉えることができます。逆に、人間関係に投資しないと一番支えが必要な時に自ら断ち切ってしまうことになるかもしれません。本記事では、ショーン・エイカー氏の「幸福優位 7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論(徳間書店)」を参考にしながら、なぜ人間関係に投資することが重要なのかについて解説していきます。

2. 人間関係は疲れるからといって本当に避けるべきか?それでも人間関係に投資が必要な理由

(1)人は他者とのつながりが欠かせない生き物である

人が生き生きと暮らすためには、食物や空気と同様に、他者とのつながりは欠かせません。私たちは社会的な生き物であり、他人との関係を築くことで豊かな人生を送ることができます。

信頼できる人間関係があり、家族や友人、同僚などに囲まれていると、私たちは感情的、知的、身体的なリソースを何倍にも引き出すことができます。他者の支えや励ましは、私たちの心を癒し、自己成長や成果をもたらします。

研究によれば、よい人間関係を築く人は、挫折からも早く立ち直り、多くのことを成し遂げ、人生の意義をより多く感じる傾向があります。人間関係は私たちの心の安定をもたらし、幸福感を高める要素となるのです。

また、人との関わりを持つこと自体がポジティブな影響を与えます。関係が強まるにつれ、私たちの幸福感は持続的に上昇し、心のベースラインがより高いレベルになります。ポジティブな人間関係を持つ人々は、この効果を自覚しており、常にポジティブな状態を保つことができます。

人間関係は私たちの生活において重要な役割を果たしています。他者とのつながりを築くことで、私たちは喜びや支えを共有し、困難な状況に立ち向かう力を得ることができます。人間関係に投資することは、自身の幸福と充実した人生を築くための必要不可欠な要素なのです。

(2)幸せな人たちのたった一つの特質「強固な人間関係」

最も幸せな上位10%に入る人々の特徴を調査した研究があります。その結果、幸せな人々を他の人々と区別する特徴は、温暖な気候に住んでいることでも、経済的に裕福なことでも、健康であることでもありません。たった一つの特徴が浮かび上がりました――それは、「強固な人間関係」です。

強固な人間関係を築いている人々は、幸福感や満足度が高く、生活の質が向上していると言えます。彼らは信頼できる友人や家族、支えとなるコミュニティに囲まれており、お互いに助け合い、共感し合うことで精神的な充足感を得ています。

強固な人間関係を持つことにより、私たちは孤立感や不安感を軽減し、ストレスや困難にも立ち向かう力を養うことができます。また、人間関係の中でのコミュニケーションや支えは、私たちの心の安定と幸福感を高める重要な要素です。

幸せな人々は、日常的な喜びや悩みを共有し、困難な時にも助け合える関係を築いています。彼らは他者との絆を大切にし、相互に信頼と支えを築いているのです。

このような研究結果からも明らかなように、人間関係は私たちの幸福度において極めて重要な役割を果たしています。強固な人間関係を築くことは、心の安定と幸福感を向上させるために不可欠です。人間関係への投資は、自己成長や充実した人生を実現するための重要な要素であることを忘れてはなりません。

(3)周囲からの支えの有無が寿命に影響する

私たちは生きる上で、周囲からの支えがなければ、私たちの体は機能不全に陥ってしまいます。実際に、成人を社会的接触が断たれた状態に置くと、血圧が30ポイントも上昇するという研究結果があります。シカゴ大学の心理学者、ジョン・カシオポ氏は「孤独の科学」という著書で、30年以上にわたる研究の結果をまとめ、「社会的つながりの欠乏は、ある種の病気と同じ程度に健康を破壊する」と断言しています。つまり、孤立は私たちの心と健康に有害な影響を与えるのです。

さらに、社会的なつながりがほとんどない人々は、重症のうつにかかる割合が、しっかりとした社会的絆を持つ人々に比べて二倍から三倍も高いという研究結果もあります。つまり、周囲の支えの欠如は精神的な健康にも大きな影響を与えるのです。

一方で、周囲の支えが十分な人々は、挫折から立ち直る能力が非常に高く、寿命も長いことが知られています。実際に、周囲の支えが寿命に与える影響は、喫煙や高血圧、肥満、定期的な運動などが寿命に与える影響と匹敵するほど大きいとされています。

したがって、人間関係に投資することは私たちの寿命や健康に直結する重要な要素です。周囲からの支えを得ることで、私たちは心の安定を保ち、ストレスや困難に立ち向かう力を養うことができます。人間関係を築くことは、私たちの幸福と充実した人生を実現するために欠かせないのです。

(4)人間関係の絆がストレスを和らげる

ストレスの多い仕事の世界で生き延びる上で、人間関係を大切にすることは重要です。長期的な視点で見ると、良好な人間関係を築く社員は、仕事のストレスがもたらす悪影響を受けにくい傾向にあります。なぜなら、人間関係の絆は、ストレスホルモンであるコルチゾルのレベルを下げ、仕事のストレスから早く立ち直り、次にストレスが襲ってきたときにも対処できるようにしてくれるからです。

研究によれば、心理的な安定感や社会的サポートを提供してくれる人間関係を持つことで、ストレスに対する耐性が向上し、身体的・精神的な健康状態が改善されることが示されています。信頼できる友人や同僚との絆を築くことは、仕事上のプレッシャーや困難な状況に直面したときに、心のバッファーを提供してくれるのです。

また、良好な人間関係は情緒的な安定感を醸成し、ストレスへの対処能力を高めるだけでなく、ポジティブな感情や喜びを共有する機会をもたらします。人々とのつながりを通じて笑いや癒しを得ることは、ストレスを軽減し、心のリフレッシュを促す効果があります。

したがって、人間関係の絆はストレスを和らげるための重要な要素となります。ストレスの多い環境で働く場合でも、人とのつながりを大切にし、信頼とサポートのある関係を築くことは、心身の健康を維持するために欠かせないのです。

(5)人間関係がしっかりしていれば困難もストレスと捉えなくなる

しっかりとした人間関係を築くことによって、困難な状況をストレスと感じなくなることがあります。人との絆に投資することで、逆境を成長の機会や新たなチャンスと捉えるようになります。さらに、本当にストレスに襲われたときでも、迅速に立ち直り、そのストレスがネガティブな影響を長引かせないように自己を守ることができるのです。

強固な人間関係を持つ人々は、困難な状況に直面したときに支え合い、相互の信頼とサポートを通じて乗り越える力を持っています。彼らは孤立せずに問題に立ち向かい、解決策を見つけるための創造的なアプローチを取ることができます。

また、人間関係が良好な場合、ストレスの原因となる要素を共有し合うこともできます。誰かが同じような経験をしたり、共感や理解を示したりすることで、ストレスの軽減につながります。困難な時には助けを求めることができるし、周囲の人々からの支援を受けることも可能です。

したがって、人間関係がしっかりしていることは、困難な状況においてストレスを軽減し、より前向きな姿勢で取り組むことができる理由です。人との絆を築くことは、自己の成長と幸福感を高めるために重要な投資であり、困難な状況を乗り越える力を育むのに役立つのです。

(6)人間関係に投資しないと一番人の支えが必要な時に自ら断ち切ってしまうことになる

仕事の世界では予測不可能な出来事が起こります。突然、合わない上司や同僚、顧客との関係に直面することもありますし、会社が倒産したり吸収合併されたり解雇される可能性もあります。そのような不確実性の中で、人間関係を築くことは重要です。

ストレス管理能力は、個人の競争力において重要な要素です。ストレスを上手に管理することで、身体的・心理的な健康にプラスの影響を与えるだけでなく、仕事の成果にも良い影響を与えます。ポジティブな人間関係から得られる「生理学的な物質」は、仕事に取り組む基盤となります。人間関係の良い社員は、長時間集中し、困難な状況でも働くことができます。

例えば、会社の合併やリストラなどで社内に大きなストレスや混乱が生じた場合、すべての社員が同じように影響を受けるわけではありません。緊密なチームで働いている人や、共通の目標に向かって協力している人々は、ストレスや混乱に対しても強くなります。お互いに支え合うシステムを構築している人々は、最も困難な状況でも力を発揮する準備ができています。

一方で、孤立してしまう人は、必要な支えを自ら断ち切ってしまうことになります。周囲の人々との絆を築かないまま引きこもってしまうと、最も必要な時に頼ることができなくなってしまいます。

したがって、人間関係に投資することは重要です。困難な時に支えを得るためには、事前に関係を築いておく必要があります。人間関係を育み、相互の信頼とサポートを築くことで、自身が困難に直面した際にも支えを受けられ、乗り越える力を身につけることができるのです。

3. まとめ

人間関係は疲れる一面もあるかもしれませんが、避けるべきではありません。むしろ、人間関係に投資することが重要です。

他者とのつながりは、私たちが生きる上で欠かせないものです。強固な人間関係を築くことは、幸せな人々の共通点でもあります。さらに、周囲からの支えの有無は寿命にも影響します。社会的な孤立は健康を損ない、精神的な問題にもつながります。

また、人間関係の絆はストレスを和らげる効果もあります。良好な人間関係から得られるサポートは、仕事や生活のストレスに対処する力を高めてくれます。さらに、困難な状況を乗り越えるためには、人間関係がしっかりしていることが重要です。支え合うシステムを構築しておくことで、困難をストレスではなく成長の機会と捉えることができます。

最後に、人間関係に投資しないと一番人の支えが必要な時に自ら断ち切ってしまうことになります。予測不可能な状況や逆境に直面した際、人々の支えを受けるためには、関係を築くことが必要です。

人間関係は労力を要するかもしれませんが、その努力は自身の幸福や健康に寄与します。人との絆を大切にし、投資することで、困難な状況でも強く立ち向かい、充実した人生を送ることができるでしょう。

4. おすすめ書籍「幸福優位 7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論(徳間書店)」

ショーン・エイカー氏の「幸福優位 7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論(徳間書店)」は、成功と幸せの関係についての考え方を転換させる内容です。

一般的には「成功すれば幸せになる」と考えられていますが、著者は逆の視点を示しています。成功は幸せの結果ではなく、幸せが成功に先行するものだと主張しています。

本記事では、この考え方のうち、人間関係と幸せについて取り上げました。強固な人間関係が幸福の鍵であることを強調しています。人間は他者とのつながりを求める存在であり、良好な人間関係が私たちの幸福感や生活の質を向上させると述べています。

さらに、人間関係の質が寿命にも影響することや、絆がストレスを和らげる効果があることも紹介されています。

この書籍は、人間関係への投資の重要性を理解し、充実した人生を送るための具体的なアドバイスを提供しています。成功と幸せの関係に新たな視点を持ち、より豊かな人間関係を築くためのヒントを得ることができます。

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