リーダーシップ

人間関係がうまくいかなくて悩んでいるリーダー向けて!コミュニケーション能力を高めるために相手に重要感を持たせることが重要な理由

1. はじめに

人間関係がうまくいかなくて悩んでいるリーダーやリーダーになりたいと考えている人に向けて、相手に重要感を持たせることの重要性と持たせ方について、デール・カーネギー氏の「人を動かす 文庫版(創元社)」を参考にしながら、解説していきます。本記事は、必ずしもリーダーでなくても、仕事の先輩でも、今後、先輩になる人にもためになる内容になっています。

デール・カーネギー氏は、1888年米国ミズーリ州の農家に生まれ、弁論術や成人教育の講師などとなり、米国の人間関係の先覚者として名をなされた大変著名な方であり、現在の価値観においても大変有意義な多くの著書を残しています。

2. 人は「自己の重要感」を欲しがっていることを理解する

人間関係がうまくいったり、人に動いてもらうための秘訣は、この世にただ一つしかありません。でも、この事実に気づいている人は、とても少ないのです。その秘訣は、自ら動きたくなる気持ちを起こさせることです。これ以外の秘訣はありません。

もちろん、相手に協力させるために、リーダーや先輩であることの権力を使えば、協力させることはできます。でも、それは、自律的に成り立つものではありません。それでは、人は何を欲しがっているのでしょうか。

人は、たとえ欲しいものがあまりないような人にも、あくまでも手に入れないと承知できないほど欲しいものがいくつかあります。例えば、健康と長寿、食べ物、睡眠、お金やお金によって変えるものなどがあります。これらの欲求はたいていは満たすことができますが、めったに満たされることがないものがあるのです。それは、「自己の重要感」です。人によっては「偉くなりたいという願望」であったり、「重要人物でありたいとする欲求」がそれにあたります。

3. 相手に重要感を持たせることの重要性と持たせ方

(1)お世辞と感嘆の違い

お世辞と感嘆は、言葉の使い方や出てくる背景において大きな違いがあります。まず、お世辞は分別がある人には通用しないと言われています。お世辞は薄っぺらく、利己的で、誠意のかけらもありません。真実ではなく、口から出てくるものです。したがって、お世辞は通用しないことが当然であり、基本的には事実としては通用しません。

また、お世辞は利益よりもむしろ害をもたらすものです。お世辞を使って相手に好意を持たせようとすると、いずれは良くない結果を招くことになります。お世辞は相手に対して虚偽を伝えるものであり、信頼関係を損なう可能性があります。

一方、感嘆は真実であり心から出るものです。感嘆は相手の長所や価値を認めることであり、喜びや感動を共有するものです。感嘆は誰からも喜ばれるものであり、相手に重要感を与えることができます。

(2)人は自分のことばかりを考えて生きている

人は普段、何かの問題がなければ自分のことばかり考えて生活しています。自己中心的な傾向があり、相手の立場や感情に目を向けることが少ないのが現実です。しかし、一度自分のことを考えるのをやめて、相手の長所や良い面を見つけてみることは意義深いことです。

相手の長所に目を向けることで、相手に対するお世辞や偽りのない評価ができるようになります。見え透いた安っぽいお世辞ではなく、真に相手を評価する言葉を使えるようになるのです。

(3)相手に率直で誠実な評価を与えようと努める

相手の長所や真の価値を認めることは、日常生活でも職場でも非常に重要です。しかし、忙しさや他の問題に気を取られるあまり、お世辞や感謝の言葉を忘れがちになってしまいます。例えば、仕事で相手が協力してくれた場合でも、心から感謝の気持ちを表したり褒めたりすることを怠ってしまうことがあります。しかし、人は例外なく他人からの評価を受けたいと望んでいます。そのため、相手の長所や価値を認めることは、相手に重要感を与える上で非常に効果的な方法です。

相手に対して率直で誠実な評価をするためには、日常的に思いやりの心を持ちながら過ごすことが重要です。深い思いやりから出る感謝の言葉を積極的に使い、相手の価値や貢献を認めることで、友人や仲間を作ったり、仕事で良好な人間関係を築いたりすることができます。

(4)勤務態度の悪い職員への対応

組織やチームで勤務態度が悪い職員が存在することは珍しくありません。彼らは人間関係のトラブルを引き起こしたり、自分自身の価値観で物事を見るため、組織やチームの生産性を低下させたり、職場環境を悪化させたりする可能性があります。このような状況に直面した際、多くのリーダーや先輩はその職員を注意したり批判したりする傾向にあります。

しかし、注意や批判に対して職員はどのように反応するでしょうか。ほとんどの場合、自分自身が正しいことを主張したり、逆切れしたり、ますます態度が悪化することが予想されます。これは、その職員が自己の重要性を否定されていると感じるためであり、相手の指摘が正しいかどうかに関係なく、自己防衛の一環として行動するのです。

しかし、そんな時には冷静にその職員を観察してみることが重要です。その職員にも必ず良い面や良い行動が存在します。そのような場面に出くわした際には、他の人の前でその職員の良い面を公平に評価しましょう。たとえその職員の態度やパフォーマンスが95%悪かったとしても、残りの5%の良い面を見つけ、ほめることが重要です。

このアプローチにより、相手の職員は自己肯定感を高めることができます。自分にも価値があると感じ、他人からの評価を受け入れやすくなります。また、他の人々の前でほめられることで、その職員は自分の行動に対する肯定的なフィードバックを受けることができます。

相手の気持ちを傷つけることでは、職員を変えることはできません。むしろ、相手を変えるためには相手を理解し、受け入れることが必要です。「どんな人でも、何かの点で私よりも優れている。私が学ぶべきものを持っている」という考え方を持つことが重要です。

また、このアプローチは個別の職員に対してのみ適用されるものではありません。組織全体の雰囲気や職場環境を改善するためにも、相手の長所や真の価値を認めることは非常に重要です。日常生活や仕事において、他の人が示してくれる関心や感謝、賞賛の言葉には大きな力があります。

4. まとめ

相手に重要感を持たせることは、良好な人間関係を築くために不可欠です。お世辞ではなく、率直で誠実な評価を与えることが重要です。相手の長所や成果を認め、感謝の気持ちを表すことで、信頼関係や協力関係を築くことができます。

このようなアプローチを取ることで、勤務態度の悪い職員との対応においてもポジティブな変化が生まれる可能性があります。相手の良い面を見つけ、評価し、その人の成長や発展を促すことは、組織やチーム全体のパフォーマンス向上につながることでしょう。人間関係を大切にし、相手に重要感を持たせることを意識して、良好な職場環境を築いていきましょう。

5. デール・カーネギー氏の「人を動かす 文庫版(創元社)」

デール・カーネギー氏の「人を動かす 文庫版(創元社)」は、人間関係の築き方や他人を動かす方法について非常に有益な教えを提供しています。この本は、リーダーシップや人間関係のスキルを向上させたい人にとって、貴重な指南書となることでしょう。

この本の中でカーネギー氏は、人々が自己の重要感を求めていることを強調しています。他人を動かすためには、相手に自ら動きたくなる気持ちを起こさせる必要があります。そのためには、相手に重要感を与えることが重要です。

デール・カーネギー氏の「人を動かす 文庫版(創元社)」は、そのようなスキルを身に付けたい人にとって、宝のような一冊です。

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