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ギブアンドテイク:ギバー・テイカー・マッチャー!仕事で成功する割合が高いのはどのタイプ?成功するために目指すこと

1. はじめに

みなさんは、ギブアンドテイクを仕事の中で意識していますか?意識的ではないにしても、例えば、仕事で分からないことや期限が迫る作業を他の職員に助けてもらったら、別の機会で助けあげようと思ったり、実際に助けるという行動を起こす人も多いと思います。その一方で、損得無しに人を助け続ける人、助けてもらうことがあたり前で搾取し続けて相手を疲弊させてしまう人もいます。ここでは、ギバーやテイカー、マッチャーで成功するタイプや、会社や社会で人望が厚く成功を収める人の特徴について説明した上で、私達にできることを説明していきたいと思います。

2. ギブアンドテイク:仕事で成功するのはどのタイプ? 結論

  • ギバーを目指しましょう。そのためにできることをひとつずつ取り組んでいきましょう。一緒に取り組める仲間がいればなお心強いです。「正」の連鎖が働き、働いていて楽しかったり、より良い職場環境に変えていくきっかけになります。
  • ただし...組織の中に1人でもテイカーがいたら要注意です。ギバーはあたなを搾取し、潰されてしまいます。相手を見極めて防衛線を張ることも忘れないようにしましょう。

3. 解説

それでは解説していきます。今回は、ペンシルバニア大学ウォートン校教授で組織心理学者のアダム・グラントさんの研究成果や書籍「GIVE & TAKE」を中心に紹介していきたいと思います。ご存知の方もいるかもしれませんが、アダム・グラントさんは、世界中の著名人による講演を開催・配信している非営利団体のTED(Technology Entertainment Design)で2回も講演しています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさんやアップル生みの親のスティーブ・ジョブズさん、テスラのイーロン・マスクさんも講演したことあると言えば、TEDがどれほど有名で影響力があるのかお分かりいただけると思います。

(1)ギバー・テイカー・マッチャー、仕事で成功する割合が高い人はどのタイプ?

みなさんに問題です。世の中には3つのタイプの人がいると言われています。みなさんはどのタイプでしょうか?マッチャーの割合が一番多く56%、続いてギバーが25%、テイカーが19%です。そして、一番成功しないのはどのタイプでしょうか?また、一番成功するのはどのタイプでしょうか?

・ギバー  (人に惜しみなく与える人)
・テイカー (真っ先に自分の利益を優先させる人)
・マッチャー(損得のバランスを考える人)

アダム・グラントさんの研究成果に基づく著書によると、一番成功しないのはギバーです。他者の利益には興味が関心があっても、自分の利益には無頓着であり、他者に与える一方で自分の利益を損なってしまいます。そして、このギバーから全てを搾取するのがテイカーです。ご自身の職場を見ても思い浮かぶ方がいるのではないでしょうか。自分自身の利益や出世にのみ興味があり、他者への要求が厳しく、自分自身には甘く、他者への思いやりのかけらもない、そう、みなさんが思い浮かぶその方です。

もし、そのような人が思い浮かばない方は、すばらしい職場で勤務できていると思いますので、誇りに思って下さい。でも、多くの方はその理想とは遠い場所にいるのではないでしょうか。

それでは、一番成功するのはどのタイプなのでしょうか。マッチャーではないでしょうか。筆者自身は、長い期間マッチャーとして生きてきました。ギブ&テイクのバランスを考えて、助けていただいた方には必ず恩返しをしようと考えて取り組んできました。テイカーがいれば、攻撃的になって駆逐し、バランスを保とうとしてきました。「因果応報」、「目には目を歯には歯を」これが世の常だと信じて。。。

テイカーは、他者から搾取し続けることで、一時的な成果や成功を納めることはできるかもしれないでしょう。でも、周りを見れば敵だらけ、積極的に協力したり、支援してくれる人は誰もいません。残念なことに、テイカーはその事実を認識できません。なぜなら他者からどう思われているのかなんて、他者への興味が無いので認識のしようがありません。周りの人は嫌々と協力しているふりをするだけです。ここでテイカーに会社や組織内で権力がある立場にいたら(例えば皆さんを評価するポジションでは)最悪です。このテイカーに多くの組織や人は潰されている現状があり、多くの企業や組織は、テイカーの短期的な正の実績や成果よりも、この負の影響という事実から目を背けてはいけません。

テイカーには絶対に成功して欲しくない!そのように思う多くに方には朗報です。一番成功するのは、われらがマッチャー!と思いきや、一番成功しないタイプと同じくギバーです。どういうことなのでしょうか?見ていきましょう。

ギバー、テイカー、マッチャーの成功のしやすさ
 1位:他者思考のギバー
 2位:マッチャー
 3位:自己中心的なテイカー
 4位:自己犠牲的なギバー

一番成功しないタイプも成功するタイプもギバーです。但し、その中身は少々異なります。一番成功しないのは自己犠牲的なギバーであり、一番成功するタイプは他者志向のギバーになります。自己犠牲的なギバーは、自己利益への関心が低いので、自己犠牲を伴い他者を支援してしまい、自身の成果は会社や顧客が求めるものを満足することができません。その支援する相手がテイカーの場合は、テイカーの成果や利益のために搾取され続け、体調を崩してしまったり、仕事にやりがいを持てなくなってしまいます。せっかく他者を支えてくれる貴重な存在なのに、その長所を生かすことができないという何ともやりきれない状況になってしまいます。

一方で、一番成功するのは他者志向のギバーです。自己利益への関心を持ちつつも、他者利益を考えて支援を惜しまないタイプになります。

関連記事:ギブアンドテイクができない人は成功しない!仕事ができる人の特徴

(2)会社や社会で人望が厚く成功を収める人(他者志向のギバー)の特徴

他者志向のギバーは、他者利益と自己利益の双方に興味関心があり、受け取るより多く与えるのですが、自分自身にもしっかり他者から還元されていくため自己利益を損なわないタイプになります。会社でいえば、例えば、マネージャーによる組織内の人材育成が一例になると思います。他者への人材育成に対して力を注げば、自分自身の時間を割くことになりますが、他者が成長すればするほど、組織への貢献度や生産性は高まります。更に、その職員が、人材育成に対する成果を感じられて感謝の気持ちがあれば、次に組織に所属する職員に対して人材育成に力を入れてくれることになり、協力していただける職員が増えれば増えるほど、他者利益を損なわずに自己利益も増加するため、組織の生産性は加速度的に高まります。しかも前向きな協力による生産性の向上なので、テイカーが搾取して得る他者利益とは本質的に異なり、持続性があるものになります。

(3)テイカーの見分け方

みなさまはテイカーのタイプを見分けることができますか?見分けることができる方はスキップしていただいて、その他の方は以下の質問をするとよく分かります。

テイカーを見分けるために有効な質問
あなたがこれまで影響を与えたと思う人物を4人、あげてください。どんな人物が思い浮かびましたでしょうか。

対外的に見て、自分より権威力のある人・目上の人・影響力が強い人をあげた方はテイカーである可能性が高いです。逆に、自分より権威力のない・目下の人間・影響が弱い人をあげたあなたはギバーである可能性が高いです。テイカーは「影響力の高い人間にさらに影響を与えることができる自分」ということを人に見せたいのです。以下のような言動が多く見られる人の場合は、テイカーと疑ってみた方がよいでしょう。十分にご注意下さい。

テイカーの見分け方
・主語が「私」という人です。テイカーは自分のことで頭がいっぱい。そのため主語には三人称の代名詞「私たち」よりも一人称の代名詞「私」を多く使います。
・テイカーは10語のうち、4語(以上)で自分の話をしています。
・テイカーは自己主張が強いです。人の話を聞かずに、自分の話ばかりしてきます。例えば、チームの功績を「私たち」のものとせず、あたかも自分一人で成し遂げたかのように周囲に語ります。

(4)仕事で成功するために私達にできること

みなさまには、他者思考のギバーを目指していただきたいです。他者思考のギバーであることで、所属する組織の生産性や職場環境が改善し、中長期的には自己利益として戻ってくるものであると信じています。みなさまが関わる身近な人がテイカーでなければ、きっと、様々なビジネスの場面でより良いものとなっていくことが期待できます。具体的には、最初は小さなことから始めることをおすすめします。例えば、仕事での対応に困っている職員がいるときに声をかけて問題を解決する、管理的・技術的な事項は積極的に声かけをして教えてあげる、落ち込んでいるようであれば声をかけて話を聞いてあげるなど基本的なことを行うだけでも、みなさまのような教える側も、教えられた側もポジティブな気持ちになれます。筆者自身も究極の他者思考のギバーを目指して日々取り組んでおり、100%ではなかったとしても、その効果を実感しています。最初は意識をしていましたが、今ではそれが当たり前で見返りなどは一切意識しなくなってきました。一緒に取り組める仲間がいればなお心強いです。「正」の連鎖が働き、働いていて楽しかったり、より良い職場環境に変えていくきっかけになります。

ただし、組織の中に1人でもテイカーがいたら、他者思考のギバーとしてふるまうには注意が必要です。ギバーはあたなを搾取し、状況によってはあなたは潰されてしまいますので、異なるアプローチをとる必要があります。具体的には、小さなところでは、テイカーには近づかない、関わらないことが一番です。しかし、職務上、役職上、関わらなければならない場合は、ギバーとしてのふるまいを一旦セーブし、防衛線を張りましょう。あなたの素晴らしい価値や才能を、テイカーに搾取されてはいけません。そして、もし、その状況をどうしても解決することができない場合は、その組織や会社に居続ける必要はありません。組織内ではチームの再編成、組織外への異動、それでもダメなら転職も視野に入れ、みなさま自身の組織や会社に依存しないための選択肢を持つことが重要です。選択肢の重要性や選択肢をどのように持ったらよいのかについては、別の記事でも取り上げていきたいと思います。

ギブばかりで燃え尽きてしまった人に向けて、自己犠牲から楽しみに変えるためのギブアンドテイクのポイントについても以下の記事で解説していますので参考にしてください。

関連記事:ギブばかりで燃え尽きてしまった人に向けて!自己犠牲から楽しみに変えるためのギブアンドテイクのポイント

組織内に1人でもテイカーがいると、その組織はテイカーに気を使わなければならなくなり、職場環境は著しく悪化します。解決方法として、テイカーを他者思考のギバーにさせることが考えられます。それは理想的であり、議論から排除すべきものではありませんが、努力をしても多くの場合は成功しません。なぜなら、テイカーがテイカーたる所以は、それがテイカーの価値観でもあるためです。テイカーがいくら短期的な成果や実績を持っていたとしても、中長期的には組織(や会社)から追い出すことが重要であり、多くの場合は唯一の解決策です。他の職員の離職や最悪の場合はメンタルの不調をきたす要因にもなります。本人はもちろんのこと、ご家族や友人、組織や会社、社会にとってこれほどひどく悔やみきれないことはありません。これは、理想論ではなく、組織や企業が躍進し、持続的に発展していくために現実的に必要な要素のひとつになります。

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